学生時代とMTGの話 最終回

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(初見の方は最初からどうぞ。1つ前はこちら(後編)から。)


●予兆
貿易トレードは当たった。
だが俺とKの終わりはゆっくりと、しかし確実に近づいていた。


Kの学校のレアカード調達ルートは規模が大きくなり過ぎたため先生に目をつけられてMTG禁止令を出されて半壊した。
その後もしばらくは規模を縮小しながら続いたようだがKの中学卒業で完全に終了した。


また行動範囲と情報網がさらに広がるにつれてプロフェッショナル、深淵をゆく大人たちの存在を知るに至る。

所詮俺たちは井の中の蛙でしかなかった。

ある大人は自ら海外のMTG世界大会に出向いてプレミアのついた会場限定レアカードをリュックサック一杯にして日本に持ち帰っていた。
税関には紙のおもちゃだとか、広告資料のサンプルだとか言い張ることで素通りできたと嬉しそうに自慢していた。

またある大人は当時最先端のインターネットを活用していち早くネットショッピングサイトの先駆けみたいなのを立ち上げていた。
俺らがやっていた貿易みたいなトレードを全国規模で展開しようとしていた。



さらにカードゲーム市場にも少しずつ異変が起こり始めていた。
MTG一強時代が終わり他のカードゲームが参入してきてMTGを辞める人も出てきた。

「トレードできますか?」と聞く前にまず「MTGやってますか?」と聞かなければいけなくなるなど効率も悪化した。




●夢の終わり
高3の春になるとやがて俺は限界を感じるようになった。
これで一生食えるわけではないことは明白だったし、先の大人たちに勝てるとも思えなかった。

このままいつまでも続けていられないこと、終わりが近いことをどこかで察していた。

それに学校の勉強も疎かにしすぎた。



何となく終わりを感じ始めた頃から俺はトレードの方針を変えた。金を追うスタイルを改めて古美術商みたいな路線にシフトした。

引退といつの日かの復活を見据えて、値動きの激しい最新レアカードをトレードに出し、値動きと流動性の低い骨董品のような古いレアカードを集めるようになった。

なぜなら最新レアカードを抱えたまま長期離脱した場合、そのカードが古くなって公式戦で使えなくなったタイミングで必ず値が大きく落ちるためだ。

またこの動きは現状のカード資産価値を長期に渡って保全するためだけでもなかった。
古いカードには独特の美しさと気品が備わっているのでそれに魅了されたというのもある。


古いカードはトレードでは一部のマニアを除いてさほど需要がなかった。古いという理由だけで値切ったり、値切られたりするのが当たり前だった。

なので人気のある最新レアカードから骨董品カードへのトレードは、所有者を見つけるのに手間取ったくらいで全体的には順調に進んだ。閉店セールのつもりで相手に良い条件を提示したというのもある。



そして最後のトレードが終わったところで俺はMTGから足を洗った。

結局その後復活することはなかった。

だが今現在のMTGの骨董品カードは大暴騰してとんでもないことになっているので結果だけ見れば最高の判断だった。
おそらく当時の若いプレイヤーが社会人になったり出世したりして金を得たので、青春時代のあの頃に憧れたカードを金に糸目をつけずに買い求めたからだろう。

ただ俺からすればどうせ死ぬまで手放さないのだから価格とかどうでもいいという考え方もあるけど。



そして引退した俺は大学受験をすることに決めた。

本格的に経営学やマーケティングを学びたいと思ったからだ。

俺が引退したらなぜかKも引退した。もともと飄々とした奴で、もしかしたら俺に比べればMTGにそこまで思い入れもなかったのかもしれない。



長くなったがこれで俺の昔話は終わりだ。長文にお付き合い頂きありがとうございます。大学編は機会があればまたいずれ。



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