学生時代とMTGの話

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今回は俺の昔話をしようと思う。

マジック・ザ・ギャザリング(MTG)というトレーディングカードゲームがあるがこれが俺の青春であり俺の人生に決定的な影響を及ぼした。

もしMTGに出会っていなければ俺はゲーム業界に入っていなかったし、こんなブログを書いていることもなかった。

プライベートな話だけど興味があればお付き合いください。



●出会い
中3の頃にMTGと出会った。きっかけは弟が友達と自宅でMTGを遊んでいたことだった。
ルールを教えてもらって実際に遊んでみると非常に面白いと思った。


しばらくして俺は近くの小さなデパートのおもちゃ売り場によく行くようになった。少ない小遣いをはたいてMTGのブースターパックというのを1つ380円とか500円でよく買うようになった。

ブースターパックというのはいわゆる未開封パックのことで、中にコモンが11枚、アンコモンが3枚、レアが1枚とかがランダムで封入されている。
引いた新しいカードを自分のデッキに組み込んで強化しながら長らく弟と対戦をしていた。


中学を卒業して何の変哲もない近場の高校に進学すると、ある日学校の図書室でMTGを遊んでいるやつを偶然見かけた。
それがきっかけで少し話をするようになると、MTGを取り扱う専門店があるということを教えてもらった。

興味を持った俺はある日家からカードを持ってきて店を訪れた。



●洗礼
とある雑居ビルの8階にMTGの専門店があった。

初めて店に入った瞬間の驚きと興奮を今でも鮮明に覚えている。

狭い通路の両壁一面にビニールで保護されたカードがぎっしり展示されていて、ガラス張りケースの中にはトップレアカードが並べられて一番高いもので1枚4000円などの値札がついていた。
奥のスペースには青い布で覆われた大きなテーブルが5つくらいあって、後に知ったがデュエルスペースと呼ばれる対戦エリアがそこにあった。

そして何よりも圧倒されたのが人の熱気だ。
通路は初詣の寺のごとく人で埋め尽くされていた。


あっけにとられていると一人の男が話しかけてきた。
「トレードできますか?」
「???」

どうやら俺とカードを交換してくれないかという話のようだ。

トレードとは所持カードをお互いに見せ合って、お互いに欲しいものを指定して、合意ができれば完了となる。

カードを手渡すと「これが欲しいです」といって男は素早く数枚を指定した。
俺はとまどいながらも男が勧める「強いカード」というやつを何枚か受け取ると、その男は店から姿を消した。


男が去った後に冷静になってトレードしたカードの値段差を確認してみると相当にぼったくられていたことをすぐに理解した。


俺はがっくりして店を後にした。


だが帰り道で思う。
「まてよ。そうか。あの男と同じことをすればいいのか……」




●目覚め
俺は勉強そっちのけでMTGの全てを頭に叩き込んだ。
カードの名前、効果、価格、戦略、コンボ、大会、歴史などあらゆることを覚えた。するといろいろと見えてくることがあった。

MTGは価格の高いカードが必ずしも強いカードとは限らない。安くても強いカードはたくさんある。
今だから理解できることだがそういうゲームデザインにしないとお金のないプレイヤーはお金のあるプレイヤーに絶対に勝てなくなってしまう。
そして高額カードというのは往々にして「強いんだけど使いづらい」「ある特定の局面に限り超強い」というカードが多かった。マリオカートのクッパやドンキーみたいな存在に近い。


やがて俺はMTGそのもの、非現実的な世界観の店、そこにいる雑多な人々、そしてトレードに完全に魅了される。
俺は平日は放課後から閉店まで、土日は朝から晩まで一日中店で過ごすようになった。



その頃にはもう俺が強すぎて弟とは勝負にならず、弟はMTGへの興味を失った。

店を教えてくれた高校の友達とも疎遠になった。学校の図書室に行く暇があるなら一刻も早く店に行きたいからだ。

そして俺自身もMTGで対戦したり勝つことへの興味は失せていった。ゲームの勝ち負けよりもトレードが圧倒的に面白かったからだ。




●飛躍
一日中店にいるといくつか気付きがあった。

まず店は昼時間、夜時間、週末時間の大きく3つに分類できることが分かった。

昼時間は平日放課後。学生がメインで昔の俺みたいなやつがいた。金はないがレアカードを持っているのでトレードが盛んにおこなわれる。金をかけずに今ある手持ちカードを交換して新しいデッキを作る。彼らの目的は友達に勝つことだ。

夜時間はサラリーマンがメイン。彼らはトレードをしないしそもそもカードを持ち歩いていなかった。金があるのだからトレードなんて面倒なことに興味がないのだ。欲しいカードは直接買う。彼らはコレクターであったり、大会で勝つことを目指す者もいた。

週末時間は大盛況で巨大なマーケットが立つ。休日だから店に来れる人や店が開催する大会を目当てに遠くの街から人がやってくるので、普段見ない顔と一期一会の大きなトレードができる。



俺の基本戦略はこうだ。
まず昼時間にトレードで高額レアカードを集めて、夜時間にレアカードをサラリーマンに売る。


詐欺トレードはしない。あの男と同じことをしてはダメだと思った。なぜなら週7で店に来る奴が詐欺トレードをやっていたら悪評がすぐに広まって誰もトレードしてくれなくなる。

重要なポイントは複数の少額カードを渡して1枚の高額カードと交換してもらうことだ。
ダイヤモンドのカラットと同じく、単体の価値が高いものほどトレードで額面以上の価値を発揮する。


あとは別の雑多なトレードにおいて最後の一押しで少額カードをおまけで1枚要求すればだいたいこちらの要望も通った。

こういうトレードなら価格相応なので相手も満足する。
事実、高額カードを1枚だけデッキに入れるより、そこそこの価格で強いカードを複数枚デッキに入れる方がはるかに強くなる。

そしてサラリーマンも安いカードをわざわざ個人から買おうとはしない。高額なトップレアカードだからこそ一手間をかけてでも俺のような個人から安く買いたいと考える。



しばらくして軌道に乗ると俺はコンサルティングを始めた。当時はそんな言葉は知らなかったが。

サラリーマンとの商談で相手が欲しがるカードを売るだけで終わらずに、それを買って相手が何を実現したいのかをヒアリングして改善案を提案した。

「このカードを使うならこのカードもセットで採用してコンボにしたほうが強い」
「このカードを使うなら4枚デッキに入れたほうがいい。」
「あなたの欲しいカードはその戦略には向いてないから別のカードを使った方がいい」

これにより従来の手持ちの中にあるカードを買ってもらうビジネスではなく、相手から複数枚のカード注文を受注して後日受け渡す約束をすることで1回の取引金額を大きくすることができた。



そしてこれまで以上の仕入れ、調達が必要になったため新たに「手下」を使うことも覚えた。
俺が頑張ってトレードをするだけでなく「このカードを持ってきてくれたら現金で買うよ」と昼時間の学生たちに話を持ちかけた。

バイトのできない小中学生が金を得る手段は相当に限られている。彼らは友達のツテを使って目当てのカードをちゃんと調達してきてくれた。


こうして俺は伸びた。今現在の自分からすると別に大した金ではないが、自分で頭を使って行動して自ら金を生み出すことにある種の高揚感、万能感、自己陶酔感を覚えた。嬉しくて楽しくて仕方なかった。


しかしこの後ミスを犯して危機を迎えることになる。

後編はこちら



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